ぶたぞーブログ

みなさんに豚肉を中心としたすべての肉をおいしく、賢く食べていただきたいです。豚道の道のりはとてつもなく長そうですが、お付き合いいただけたら嬉しいです。肉業界の裏話などもしています。

アメリカ産豚肉って安全なの?えさから考えてみた

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どうも、ぶたぞーです。

アメリカ産豚肉は、なんか体に悪いものが入っているとか、国産豚肉に比べて安全性が低いとかってイメージないでしょうか?

そのため、価格は激安なんだけど、買わないという人も多いかと思います。

今回は、そんなアメリカ産豚肉の安全性を調査します。

最初に答えを言ってしまうと、ほぼ安全といって良いです。

だから日本政府はアメリカからの豚肉の輸入を許可しているのです。

でも、絶対安全かって言われると少し弱点はあるのかなと感じています。

では、豚肉の大本「えさ」、豚が育つ農場、そして屠畜されて豚肉に加工される加工工場、最後に加工された豚肉がどうやって日本に運ばれてくるのかを調べていきたいと思います。

このブログでは第一弾として、えさに絞って調べてみました。

目次

アメリカの養豚農家さんは自分でえさも育てている

アメリカ食肉業界団体のサイトが詳しいです。
https://www.americanmeat.jp/trd/safety/usmefdb/pdf/factsheet_007.pdf

まとめると、多くのアメリカの養豚農家は「えさ」のトウモロコシや大豆を自ら育てて収穫し、自分の豚に与えています。

私は実際視察に行ったことがあり、訪問した養豚農家さんは畑の中にある家に住んでましたし、自分で大きなトラクターのようなものに乗って収穫作業もしてました。

アメリカではえさ代が激安

衝撃的なこのグラフを見てください。

アメリカではえさ代豚1頭あたり7,561円ですが、日本では19,657円となっています。

外国産豚肉って安全なの?どうして安いの? - ぶたぞーブログでも書きましたが、アメリカは豚舎(豚の育成施設)のすぐ近くで収穫したえさを与えているため、えさの輸送費がかかりません。

でも、日本はえさの8割以上が輸入に頼っているため、えさの輸送コストが非常に大きくなってしまいます。

改めてグラフをよく見てほしいのですが、アメリカでは日本と比較してえさ代が半額以下でその他の諸経費もほとんどが半額以下です。だから安いのです。

アメリカ産豚肉は管理が適当で危険な豚を育てているから安いわけではないんです。

また、諸経費がなぜアメリカの方がこんなに安いのかと思われるかもしれません。

これは、まさに今話題の「生産性」がアメリカの方が断然高いからに他なりません。詳しくは次のブログで書きます。

アメリカ産豚肉の生産性についてはこちら

www.butazou.com


でもやっぱりアメリカ産豚のえさは危険?遺伝子組み換え飼料

ただ、詳しい方はアメリカ産豚のえさは遺伝子組み換え飼料が含まれいるのではとか、成長(肥育)ホルモンを添加しているのではと思われるかもしれません。

アメリカ産豚肉のえさに遺伝子組み換え飼料が含まれているかどうかですが、確かに含まれています。

しかも、国産豚もアメリカ産のトウモロコシを輸入して食べさせていることがほとんどですので、遺伝子組み換え飼料を食べています。

日本に輸入されるアメリカ産のトウモロコシの約9割が遺伝子組み換え飼料(2012年米国農務省調べ)と言われています。

不都合な真実ですが、私たちの食べている豚(国産にしろ、輸入にしろ)は基本的に遺伝子組み換えしたえさを食べて育った豚なのです。

実はこれは牛も鶏も一緒です。

でも安心してください。

遺伝子組み換えの農作物は確かにイメージ悪いですが特に健康被害があるといった科学的報告はありません。

私は大学で畜産を学びましたが、教授も体内で遺伝子が悪さをする前に胃で遺伝子を分解して消化するから大丈夫だと言ってました。

多分大丈夫なんでしょう。

といっても私も皆さんももう食べちゃってるので、大丈夫と考えるしかありません、、、

でもやっぱりアメリカ産豚は危険?成長(肥育)ホルモン

さて、成長(肥育)ホルモンについてです。

厳密にはえさと離れてしまいますが、大事なことなので成長ホルモンに関しても書いておきます。

まず、成長ホルモンが含まれる肉は意外なところで問題になっていました。

豚肉とクレンブテロール | 日本一のドーピング薬剤師。なんとアスリートが成長ホルモンが残留した肉を食べて、ドーピング検査に引っかかってしまう事があるようです。

実はアメリカで豚に成長ホルモンを投与(注射)することを禁止しておりません。

それが理由でロシアはアメリカ産の肉を輸入することを許可しておりません(2017年7月現在)。

ただこれは、外交的なカードとして使われているとも言われており、安全性の問題だけで輸入禁止にしているとは言い切れません。

また、成長ホルモンが過剰投与された豚肉を食べて人間が健康被害にあったことは実際にあるようです。ラクトパミンについての質問が多いのでまとめましたに記載されております。

そして、カナダ産豚や日本の豚は成長ホルモンが投与されず肥育されています。
カナダポーク品質保証マーク | カナダポーク | トレード向け

ですが、アメリカ産豚肉が危険とは言い切れません。現地アメリカ人も日本人もアメリカ産豚肉を何十年と食べてきています。

でも、食肉業界に身を置く私には成長ホルモンが原因と思われる健康被害の話は聞いたことがありません。

もちろん、アメリカ政府や日本政府も基準値以下の残留成長ホルモン量であれば安全と言っています。

ナチュラルビーフ・ナチュラルポークってなんだ? - ぶたぞーブログと以前のブログに書いた通り、アメリカやカナダでは成長ホルモンを使用していない豚肉や牛肉が多く売られているのも事実です。


やはり、安全性に関して、アメリカ産豚肉の最大の弱点がこの点であることは間違いないといえます。

繰り返しますが、それでも私はアメリカ産豚肉は基本的に安全と思っています。

だって私も小さなころから20年近くアメリカ産豚肉を食べていますがピンピンしてますから。


食品で完璧な安全を求めるのは気持ちはわかりますが、厳しいものがあります。

魚だって、野菜だって完璧に安全なものってなかなかないのでは、、、


安くて安全なアメリカ産豚肉を使って是非とも生活を豊かにしていただけたらと思います。

おいしいアメリカ産豚肉といえば

ベイビーバックリブ