ぶたぞーブログ

みなさんに豚肉を中心としたすべての肉をおいしく、賢く食べていただきたいです。豚道の道のりはとてつもなく長そうですが、お付き合いいただけたら嬉しいです。肉業界の裏話などもしています。

外国産牛肉って安全なの?

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どうもぶたぞーです。

アメリカ産、オーストラリア産、カナダ産とスーパーでは、世界各地の牛肉に出会えます。

そして、国産より圧倒的に安い価格で販売されています。

国産牛が軒並み100g 398〜898円で売られているのに、外国産牛肉は時には100g 99円なんて驚きの安さで売られていることがあります。

こんなに安いのは、外国産牛肉には裏があるに違いない?危ないじゃないの?って思っている方も多いと思います。

確かに裏はあります。ただ皆さんが考えているような裏とは全然違うかもしれません。

目次

実は外国産牛肉は安全

今回は特に安全性が高いと言われるオーストラリア産牛肉(オージービーフ)を深掘りします。

主に、豪州産牛肉の業界団体のサイトの情報と業界人の私の知識をもとに書いていきます。
安全性 | オージー・ビーフ&ラム公式サイト


BSE (狂牛病)の発生が0(ゼロ)の国

まず、どの分野でも結果(実績)が大事だと思いますので、安全面での実績を確認します。


牛肉の安全と言えば、業界人として真っ先に思い浮かぶのはBSE(狂牛病)に関してです。

2000年に日本で牛にBSEが発生しました。

それ以来、日本では18年経った今でもBSE検査をすべての牛に対して行なっています。

また、BSEの発生が起きていたアメリカからの輸入をストップするなど、日本食肉史に残る出来事でした。


そんな中、オーストラリアはBSE(狂牛病)が0(ゼロ)の国です。

2000年でも、日本に問題なく輸入されていました。

今までに1頭も発生歴がなく、EUの食品安全機関から最もBSEの発生が起こり得ない国として認定されています。

GBRという国際基準のレベル1として認定されています。

ちなみに、日本は感染の可能性はあるが、未だに確認されていないか、確認されても低いレベルと認定されていて、GBRレベル3です、、、、

世界では、BSEに関してオーストラリアは安心安全と考えられています。一方日本は世界から見たら安心安全?な状態です。

私も昔は、食肉に関しても日本が世界で一番安全なレベルと思っていました。

でも、実際は違うのです。

オーストラリアは世界で一番の安全レベルだけど、日本は三流レベル、、、が現実です。

オーストラリアの管理体制

この実績は、偶然なのでしょうか?

私は必然だと思っています。

オーストラリアの管理体制のポイントを調べてみました。

HACCP(食品安全管理システム)があらゆる分野に行き届いている

日本でも来年から、食品関連企業に対して義務化となります。

そのため、もしかしたら聞いたことがある言葉かもしれません。


ただ、世界からは10年以上遅れています。

そして、畜産分野では日本は一生追いつけないでしょう。

それほど、畜産先進国と日本ではこの分野に対する意識や人やお金の掛け方が違います。


オーストラリアでは

・農場や牧場(牛の育て方)
・牛の輸送
・食肉加工工場

の分野で全ての施設が第三者のチェックを受けながらHACCPの考えに基づいて運用しています。


対して、日本では食肉加工工場の一部が数年前から導入している程度です。


オーストラリアの牛肉産業は世界100カ国に牛肉を輸出ほどの大きな産業です。

各国の厳しい安全基準をクリアしていくために、安全面のレベルは磨きに磨かれています。

国内消費がほとんどの我が国とは意識が全く違うのです。



トレーサビリティ(個体情報の追跡)

トレーサビリティ、つまり個体情報が追跡できる仕組みですね。

こちらは、日本でもイヤータグと言って、牛の耳に番号が書いてあるプラスチック札をぶら下げてさせて管理することで個体情報追跡ができるようになっています。

当然オーストラリアでもイヤータグでの管理はされています。

しかも、イヤータグの情報は電子的に管理されており、中央データベースで一元管理されています。

2005年には電子イヤータグが義務化されており、手入力によるミスを防いだり、データの処理の速度を高めております。


日本でも、一元管理はされていますが、電子イヤータグはまだまだ一般的ではありません。

なので、この管理手法のために途方も無い手作業入力が発生しています。

こちらのサイトで、スーパーの国産牛の値札に表示されている個体識別番号を入力するとその国産牛の生まれた場所など様々な情報がわかります。牛の個体識別情報検索サービス

この分野でもオーストラリアなど、畜産先進国に遅れを取ってしまっています。


ただ、オーストラリアと日本ともに何か問題が起きた時にどんな牛の肉であったかや、何を食べて育った牛なのかを把握することが可能と言えます。

遺伝子組み換え飼料(えさ)

実は、オーストラリア産牛のえさに遺伝子組み換え飼料が含まれています。


さらに、国産牛も遺伝子組み換え飼料を食べています。

日本では、飼料自給率は2017年で27%(農水省)と、外国産のトウモロコシを輸入して食べさせていることがほとんどのためです。


輸入されるアメリカ産のトウモロコシの約9割が遺伝子組み換え飼料(2012年米国農務省調べ)と言われています。

不都合な真実ですが、私たちの食べている牛(国産にしろ、輸入にしろ)は基本的に遺伝子組み換えしたえさを食べて育った牛なのです。


つまり、国産のえさだけで育った牛は日本にほとんどいないと思います。

業界に10年いる私でも国産のエサだけで育てた牛は聞いたことがありません。


実はこれは豚も鶏も一緒です。

でも安心してください。

遺伝子組み換えの農作物は確かにイメージ悪いですが特に健康被害があるといった科学的報告はありません。

私は大学で畜産を学びましたが、教授も体内で遺伝子が悪さをする前に胃で遺伝子を分解して消化するから大丈夫だと言ってました。

多分大丈夫なんでしょう。

といっても私も皆さんももう食べちゃってるので、大丈夫と考えるしかありません、、、

成長(肥育)ホルモンの投与

成長(肥育)ホルモンについてです。

まず、成長ホルモンが含まれる肉は意外なところで問題になっていました。

なんとアスリートが成長ホルモンが残留した肉を食べて、ドーピング検査に引っかかってしまう事があるようです。

また、成長ホルモンが過剰投与された肉を食べて人間が健康被害にあったことは実際にあるようです。ラクトパミンについての質問が多いのでまとめましたに記載されております。

実はオーストラリアで成長ホルモンを牛に注射することを禁止しておりません。

一方、日本の牛は成長ホルモンの投与が禁止されています。

ですが、オーストラリア産牛肉が危険とは言い切れません。現地オーストラリア人も日本人もオーストラリア産牛を何十年と食べてきています。

でも、食肉業界に身を置く私には成長ホルモンが原因と思われる健康被害の話は聞いたことがありません。

もちろん、オーストラリア政府や日本政府も基準値以下の残留成長ホルモン量であれば安全と言っています。

ナチュラルビーフ・ナチュラルポークってなんだ? - ぶたぞーブログと以前のブログに書いた通り、アメリカやカナダでは成長ホルモンを使用していない牛肉や豚肉が多く売られているのも事実です。


安全性に関して、輸入牛肉の最大の弱点がこの点であることは間違いないといえます。

繰り返しますが、それでも私は輸入牛肉は安全と思っています。

だって私も小さなころから20年以上輸入牛肉を食べていますがピンピンしてますから。


まとめ

・ 外国産牛肉は安全
・ 実績が物語っている。オーストラリアはBSEの発生ゼロ
・ 食品安全を守る仕組みが整っている

外国産牛肉の安全性は、意外に思われた方も多いのではないでしょうか?

今度は、それなのに価格が安い謎にも迫っていきたいと思います。

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