私は大学で畜産を学びました。2年生の時に実習で豚を育てました。
生まれたての赤ちゃん豚の世話をして、110kgになるまで肥育をしました。最終的にはと畜して、ウィンナーやベーコンに加工して食べました。
まさに、1年前ぐらいに、マンガ「銀の匙」や映画「豚がいた教室」で注目され議論があった実習そのまんまです。
今回は、実際かわいい赤ちゃん豚から育てて、最後はと畜する様子までを書きたいです。また、最終的には食べてどう感じたのかもお伝えします。
そもそも豚はどのくらいの期間飼育(飼養)するのか?
さて、まず豚って生まれてから何日で出荷されるのでしょう?およそ180日間、つまり半年間です。
また、出荷時の体重は約110kgです。生後6ヶ月で110kgって信じられますか。人間のために改良された動物ってすごいんです。
ただ、実際世話をして、過ごす180日間は結構長く感じました。
冬の初めに養豚実習スタート
実習をしていたのは、10年以上前で記憶もあやふやな部分が多いですが、当時のスケジュール帳を見ながら書いていきます。スケジュール帳って捨てられませんよね。
スケジュール帳の11月23日に初めての養豚実習と出てきます。どうやら冬の始まりとともに赤ちゃん豚を育て始めたようです。
当時私は畜産学科にいて、学内にある豚舎(豚を育てる建物)に集められ一通り豚舎の説明を先生から聞きました。
ボロくて臭くて汚いなと思った記憶があります。先生からあそこに母さん豚が1頭いてあと少しで出産しますので、生まれた赤ちゃん豚をみんなで育ててくださいと指示されました。
赤ちゃん豚
そして、次の週の実習で豚舎へ行くと確かに赤ちゃん豚が8頭ほど生まれてよちよち歩いていました。
赤ちゃん豚ってよくよく見るととてもかわいいです。女子学生たちはペットにしたいと声もあがるほどでした。ちなみに私の大学では豚に名前はつけませんでした。
豚当番
また、スケジュール帳を見ると12月7日7時45分豚当番とあります。クラスで当番制で毎日豚舎の掃除をして、飼料や水を替えるといった世話をするのです。
一度掃除中に豚が水を飲むための水槽に財布を落としてしまい、テンションがた落ちになったことを覚えています。当番は春休み中も含めて10日おきぐらいで5月までありました。
養豚実習授業
交代制の当番とともに、毎週授業として養豚実習があります。そこで、毎回必ず豚の体重を計測します。
養豚実習では、豚の去勢や人工受精用の精子を雄豚から採取するなどもやりました。どちらも、なかなか精神的にきつい実習でしたが、女子学生達の方がすぐに慣れてキャッキャ言いながら作業していたのが印象的でした。
女子つえ~。
一大イベント去勢
養豚実習で一番印象に残っているのは、何と言っても去勢です。
肉用の豚は肉が臭くなってしまうという理由で雄で生まれてきた豚を去勢します。ここからはグロテスクな表現になります。読みたくない方は読まないでください。
生まれてから1週間程度の仔豚を1人が仰向けに固定して、もう1人が金玉(小さいので分かりづらい)をナイフで切れ目を入れて開き、少し押すと白い睾丸が出てきます。
それを専用のごついハサミで切り取ります。以上去勢終わりです。
仔豚は騒ぐとかはないのですが、私達男は、気持ちがわかるだけに非常に気が進まなかったです。
女子はキャッキャ言ってます...
毎回のルーティンイベント体重測定
さて、ルーティンの実習である体重測定ですが、最初のころは数キロしかないので、業務用の計りで簡単に測れます。
小さめのカゴに仔豚を入れて、計りに乗せれば完了です。
成長するにつれて、10キロを超えてきて、通常の計りでは測れなくなってきます。すると豚1頭が丁度入れる檻のような専用の計りで計測することになります。
豚のお尻を押して、その檻へ入れるのです。50キロぐらいの体重になるまではこちらの力が勝るので檻に豚をすんなり入れることができます。
豚は基本的には檻に入りたくないので、押してもなかなか前に進みません。
80キロを超えたぐらいからは男子学生数名で汗だくになりながら豚を檻に押し込むことになります。
仔豚の時はかわいかった豚達も、日に日にこれぞ豚となっていきます。毎回手こずる体重測定で汗だくになっている時は早く肉になってくれと思い出すようになってきていました。
こうして学生は畜産人へとなっていくのですと今は思います。
肥育完了
5月下旬には、大学職員の方達の多大なるフォローのお陰で、自分たちで育てた豚達は見事110kgを超えました。
この後はと畜とその豚を使った加工肉生産実習を行います。その話はまたの機会に書きたいと思います。
9/7更新。と畜についてはこちら
食べてみてどう感じたですが「おいしかった」以上です。
でも、畜産の学生はみんなそんな感じだったように思います。
畜産の動物はペットじゃないといつも教えられていましたし、名前もつけていなかったからかもしれません。
養豚実習や養豚に興味をもっていただいた方は、おすすめのマンガがあります。
こちらの巻が養豚実習の回です。今回の話がより分かりやすく伝えらえています興味を持った方はぜひ読んでみてください。
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マンガ「銀の匙」ですが、畜産学科で共に学んだ同期達の間でもとても人気があります。
私もそうですが、銀の匙の内容をそのまんま実習や授業で経験しているので昔を思い出すきっかけになって懐かしいのです。
純粋に内容も面白いので興味ある方はぜひ読んでみてください。
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